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ADHIMSのホームページにお越しいただきありがとうございます。
近畿大学医学部6年の皆良田 知佳(かいらだ ちか)と申します。

報告が大変遅くなりましたが、大学に入学してからこれまでの経緯について、
少しずつ紹介していきたいと思います。

まずは、1~4年生についてです。

【目次】

1.講義
2.実習
3.チュートリアル
4.OSCE
5.CBT
6.自学自習
7.まとめ


1.講義

難聴の学生にとって授業プリントはなくてはならないものですが、大抵の授業プリントは前に映し出されるパワーポイントのコピーです。これは、健聴の学生にも配布されます。最初は私もこれだけで十分やっていけるものだと考えておりました。しかし、表面的な情報だけではきちんと病態を理解したことにはなりません。耳からしか得られない情報には沢山の生きた情報があふれております。私も授業が段々と難しくなるにつれて、先生が話されていることを知りたい!と思うようになりました。また、試験に出るような大事なポイントなど、参考書では得られない情報もあります。そこで、私の場合どのようにして情報保障を得ていたかをここでお話します。1年生の時は、隣の友達に先生の話していることをオンタイムで書いてもらっていました。これは、「将来人助けをすることになる医学生を育てることにもつながるだろう」という教授側の意向もあり、大学側に勧められてのことでした。しかし、友達には相当な負担がかかっていたと思います。私も段々と気が引けてきて、しまいにはお願いすることが出来なくなってしまいました。そこで民間のノートテイクのボランティアにお願いすることも考えましたが、専門用語の多い難しい医学部の授業にはとても対応出来ないケースが多いので、難しいと思い、あきらめざるをえませんでした。コストもかかるので非現実的でもあります。また、授業のない他の学年の学生にお願いすることも考えましたが、他の学部とは違い医学部のスケジュールは詰まっており、これも難しいと判断しました。そんな時にある先生(以下A先生)が素晴らしい発明をして下さりました。それはパワーポイントのコメント欄に前もって先生がお話しすることを書き込み、それを印刷したプリントを特別に頂くというシステムです。このプリントには前に映し出される画面も印刷されており、私は前を見ることによって現在どこをお話しているかがわかり、他の学生と同時に授業を進めることができます。もちろん、すべてを書き込むのではなく、大事なポイントだけを書き込んでもらうようにお願いしました。主に画面には書いていない、病態生理の理解の手助けになる情報を簡潔に書いてもらいました。あまりにも長いと、授業のスピードにあわせて読むことが出来ないし、先生方にも相当な負担がかかってしまいます。また、この素晴らしいシステムを全ての講義で実用させるべく、A先生が教授会で各教授にお願いして下さいました。おかげで、私は色んな先生方にお願いする必要はありませんでした。また、私自身も他の学生との平等化を図るためにも、授業以外ではこの特別プリントは見ないように心がけておりました。あくまでもこのプリントは授業中に話される内容を文字にしただけであり、決して自学自習の手助けにしてはいけません。このシステムのおかげでかなり授業に対する悩みが解消されたように思います。A先生をはじめ、協力して下さった先生方には感謝してもしきれません。また、特別プリントだけでは理解出来なかったところは友達に聞くようにしておりました。

2.実習

ひとくちに実習といっても色々な実習があり、それぞれの実習に対応した情報保障が必要となります。また、実習の多くは聞こえないことがハンディとなることはありません。むしろ実習そのものよりも、実習に関する説明(実習の手順、注意事項など)が聞きとれないことが問題であります。パワーポイントを使う実習では【1.講義】でも述べたように、特別にプリントを頂きました。ここで病理実習(主に生検などで得られた組織を顕微鏡を使って観察し、スケッチする実習です)では、組織の写真に色付きの矢印があるとわかりやすかったです。矢印に対応した説明をコメント欄に「赤の矢印…癌真珠。扁平上皮癌においてみられる、玉ねぎ状の配列を示す、分化が良いということ。青の矢印…正常組織、・・・」といった感じで書いてもらうと理解しやすいです。実習では先生も数人いて、質問しやすい環境でもありましたので、わからないことがあればすぐに質問していました。実習そのものが問題となるのは、心音や呼吸音を聞く実習と血圧測定の聴診法だけだったと思います。心音に関しては、特別にスピーカーにつなげてもらい音を拡大して聴いたり、心音図といって心音を波形にしたものを目で確認したりしました。呼吸音もスピーカーで音を拡大して聴きました。血圧測定では聴診法は特別に免除してもらい、触診法だけをこなしました。私の場合、将来無理してでも聴診器を使う診療科に進むことは考えていないので、実習をどうするかだけを考えておりました。

3.チュートリアル(討論学習)

難聴というハンディを持っていることで、講義や実習よりも大変だったのがチュートリアルでした。チュートリアルはその場でセリフが決まるので、講義のように前もって準備することが出来ません。また、受け身の講義と違い、参加型であるので自分も発言しなければなりません。当然ではありますが、発言するには話の内容が聞こえていることが必要不可欠となります。私の場合、チュートリアルでは民間のボランティアの人に頼んでノートテイクをしていただきました。やはり、専門用語が多いので、なかなか難しい部分もありましたが、なんとか話の内容を理解することは出来ました。しかし、タイムラグの問題もあり、発言することは難しかったです。話そうと思っても、もうすでに誰かが話しているのではないかという不安もあり、発言するにはとても勇気が要りました。ここでは班のメンバーの理解と協力も必要になると思います。また、将来医師になった際、カンファレンスではどう対処していこうかと考えているところです。

4.OSCE

聞こえないことが問題となるのは大きく分けて①聴診器の使用②打診③AEDの使用④医療面接におけるコミュニケーションの4つです。以下にそれぞれについて述べます。

①聴診器を使うことはありますが、OSCEでは所見までは求められません。あくまでも“素振り”が合っていれば良いのです。聴診器を当てる部位、ベル型や膜型を正しく使い分けられているか、耳にはきちんと正しい向きで装着されているか、手で温めてから使ったか、などがポイントになると思います。血圧の聴診法も素振りだけ出来ていれば合格出来ます。しかし、まれに、心音の聞き分け(Ⅰ音かⅡ音か?など)が問われることがありますが、合否に影響するほど配点は高くないと先生がおっしゃっていましたので、私は割り切って他の項目を完璧にこなせるようにしました。

②打診については、私の場合静かな所であればある程度の聞き分けは出来ますが、打診でも聴診と同じように素振りが出来ていれば問題ありません。また、音の違いによる肝臓や肺の上縁、下縁が問われることがありますが、これも音の違いで肝臓の部位を特定出来るということが理解出来ていれば素振りだけで大丈夫だと思います。

③OSCEの項目の一つに救急があります。救急では主にBLS(一次救命措置)を行いますが、ここで使用されるAED(自動体外式除細動器)には音声指示という厄介なものがあります。音声指示は色んな場面でされますが、聞こえないことで特にやりづらいと感じたのは電気ショックの前後でした。普通、正しい位置にパッドを貼り付けたら、「体に触らないでください、心電図を調べています。→(解析)→充電しています。→電気ショックが必要です。体から離れて下さい。」といった感じで指示されます。この指示が聞こえないと、今AEDが何を行っているのか分からないがために自分もどうしてよいか分からずおろおろしてしまいます。そこで私は以下のように対処しました。
【1.パッドを貼り付けたらすぐに、指示は気にせずに「離れて下さい!」と周りの人を引き離す。2.(この間にもAEDはずっとなんか喋っているが気にしない)しばらく待っていると、電気ショックが必要な場合はAED本体にあるボタンが光る。3.自分と周りの人が離れていることを確認した後にボタンを押す。4.(押したら直後にAEDがなんか喋っているのが聞こえたら、ショックが終わったとみなす)脈などの確認→必要なら心臓マッサージを再開したりする。】この方法は慣れるまでは少しやりづらいと感じるかもしれませんが、慣れたらなんとかこなせるようになります。例えば電気ショックが必要ない場合ボタンは光らないこととか、ある程度は目で確認出来ることもあるので、OSCEならこの方法でやっていけるものだと思います。

④コミュニケーションに時間がかかるだろうということで、制限時間を2倍にしてもらうよう配慮して頂きました。模擬患者さんにもあらかじめ難聴であることを伝え、ゆっくりはっきり話してもらうようにお願いしました。また、どうしても聞き取れなかった場合の筆談も認めて下さいました。実際、通常の制限時間内で終わらせることが出来たし、筆談どころか聞き返すということもほとんどなかったのですが、確認だけは忘れないように心がけておりました。模擬患者さんが話したことを繰り返し、聞き間違いがないかを確認することは大事なことだと思います。模擬患者さんが話した直後カルテにメモをとる合間にちょくちょく確認し、最後にもう一度まとめて確認すると良いかと思います。

OSCEについては以上ですが、ここで注意してほしい事があります。ここではあくまでもOSCEに合格することだけを目的としており、全てを臨床には応用出来ませんのでご了承ください。(特に①、②、③)また、OSCE対策のビデオがあるのですが、色んな先生がご厚意で私のためにビデオのセリフを紙に打ち込んで下さいました。これもとても役に立ちましたが、必ずしもビデオがわからないと対策出来ないということではありません。対策実習に真面目に参加するなり、対策本を読むなり、友達と練習するなりすることで必ず合格出来ます。

5.CBT

CBTは特に難聴であることがハンディとなることはありません。ただひたすらと勉強するのみです。有名予備校によるビデオ講座がありますが、過去問だけでも十分対処できます。しかし、問題集だけだと表面的で浅はかになりがちなので、常に病態生理を意識しながら勉強することが大事です。病態生理は参考書を読んだり、友達に聞いたりすることで理解出来ると思います。

6.自学自習

近畿大学の場合、各科のユニットの終わり(だいたい2週間おき)に、週末試験があります。皆授業プリントを見直したり、過去問を解いたりして試験に備えます。ここで、難聴である私が常に気を付けていたことは試験の情報の聞き漏らしがないかということです。友達に授業プリントを借りて口頭で伝えられた重要な箇所のチェックをして、そこを重点的に勉強しました。また、先輩から回ってきた情報など、学生の間だけに回ってくる情報も仲の良い友達に確認したりしていました。

7.まとめ

これまでに様々な対処法をご紹介いたしましたが、やはり一番大事なのは周囲の理解と協力を得ることだと思います。私も大学入学当初は周囲に頼れる人がおらず、何度も大変な思いをしました。他人に頼るということは、頼る方も精神的にもしんどいことでありますが、相手のためにも自分の障害をわかってもらう必要はあると思います。私の場合、A先生をはじめとする様々な方の手厚いバックアップのお陰で、何の問題もなくここまでくることが出来たと思います。ここで、一度にたくさんの人から理解と協力を得ることは難しいので、誰か1人相談出来る先生を最初に見つけると良いと思います。また、学生の身である私が個人的に協力をお願いするよりも、先生から呼びかけてもらった方が同意を得やすいものなのです。今では、教授による私をサポートする会が出来上がっているのですが、これも周囲の理解があってのことです。感謝してもしきれません。



文責:皆良田知佳

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