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臨床前実習-3

 さあ、佳境に入ってきました。
 今回から、ちょっと専門的なお話になってきます。

【聴診】
 医療の現場において、「聴覚障害があるためにやりづらいこと」というと、まず最初に挙がってくるのがこの「聴診」ではないでしょうか。
 聴診とは、人間の体内から発される音(生体音)を聴くことです。
 心臓や肺だけではなく、血管を血液が流れる音も聴きますし(血圧や血管雑音)、腸管が動いている音(腸蠕動音)も聴きます。
 人間の体って、いろんな音がするんですよ!

(1) 道具:聴診器・心音図
 体の中の音を聴くために、「聴診器」があります。
 ところが、聴覚障害を持つ人はこれがニガテ。
 難聴にも軽度から高度までいろいろな難聴がありますから、一概にはいえないのですけれども、高度難聴となると普通の聴診器では太刀打ちできません。
 (一度、学校の備品なり、生協や購買に置いてあったりする普通の聴診器で聴いてみてください。聴診器を叩いて音が聞こえなければ、役に立ちません)。
 そのような問題を解決するには、どうしたらいいでしょうか。
 方法は2つあります。
 A) 音を大きくできる聴診器(電子聴診器)を使う
 B) 音が目で見える形になるものを使う

 具体的にどんな機械なのかは、これまた長くなってしまうので、項を改めさせてください。

(2-1) 聴診の実際:聴診器編
 はじめにお伝えしたいことは、「聴診は、聞こえる人でも専門家になるまでは修行が必要だ」ってことです。専門家でも判断に悩むような音もあります。
 それをふまえて、「どう聴いたらいいの?」というギモンを、わたしなりにお答えしたいと思います。
 まず、普通の人と同じようにはぜったい聞こえません。
 ここ、重要です。聞こえかたが違う、というのを認識してください。
 その上で、わたしが聴診をするにあたって先生から受けたアドバイスは、
 「自分の聞こえかたで、正常の音とそうでない音を聞いて、覚えておくように
 ということでした。
 「自分の聞こえかた」でいいんです。
 でも、とにかく「聴く」こと。残っている聴力で聴くことのできる人は、それを活用して「自分が聞いたときの音の違い」を確かめながら聴診をしていけばいいと思います。
 ただし、先ほども書いたとおり、正常な聴力の人と同じようには聞こえません。100%の音を聞くことができないので、大事なことは聴診を補えるような視覚情報(心音図など)を用いるほうが安全です。特に、気管支・肺の音は聴診が重要な所見となることが多いです。

 聴診は難聴のある人にとって難関となりますが、大切なのは、「自分の耳でどういう音が聞こえて、その音はどんな意味を持つのか、正常なのか異常なのか」を理解しようとすることです。
始める前に:
音の高さ低さはわかりますか?
補聴器を使っていると、「音の高低」と「音の大小」が混同されがちのようです。「高い・低い」と「大きい・小さい」は違うんだ、ということ、わかるでしょうか。
ここが聴診のネックかもしれません。
生まれつき聞こえなかったり、小さいときから聞こえないという人は、「音の高低」の概念が理解しにくいようです。
難聴の中には、高音または低音のどちらかが障害されるタイプのものもあり、これもまた難しさの原因かも。
とにかく、自分で聴いてみてください。
「聴診器が使えるかどうか」の判断にはなります。
心音:
どの場所から音が聞こえるかに注意します。
「ドクッ」という低い音がI音(三尖弁・僧帽弁の閉鎖音)、
「トンッ」という軽くて高い音がII音(大動脈弁・肺動脈弁の閉鎖音)です。
I音は三尖弁・僧帽弁の音がよく聞こえる心尖部(左乳首の下あたり)で、II音は大動脈弁・肺動脈弁の音がよく聞こえる心基部(第2肋間で、胸骨の左右)で、それぞれよく聞こえます。
場所と音の関係、それから音の意味を理解すれば、ずいぶんと「聴きやすく」なりますよ。自分で、勉強してください(ガンバレ!)。
また、心音の場合は、心臓の弁の具合が悪いようなとき(「弁膜症」ですね)に、皮膚の上から「振戦 (スリル:thrill)」といって、音が振動になって触れます。
(弁は血管と心臓のドアのようなものですから、たてつけが悪くてガタガタしているんだ、と思ってください。ちょっと悪いくらいではそんなに揺れませんが、ひどくなると派手に「ガタガタッ!」)。
聴覚だけではなく、触覚でこの「振戦(thrill)」を感じとることに注意すれば、「音がわかる」と思えるでしょう。
肺音:
肺音は、心音よりもちょっと難しいかもしれません。
肺の音を聴くコツは、左右で差がないかどうか全体で差がないかどうか、です。自分の耳で聞いて、左と右で音が違っていたり、ある場所だけ音が弱かったら、それはやっぱり「なんだかおかしい」ということです。
もうひとつコツがあって、「胸郭(胸)の動きを見る」ということです。吸気と呼気のどちらで音が聞こえるか、ということが重要です。
(でも、けっこうムズカシイんですよね、これが……)。
次に、気管支音肺胞呼吸音の区別をしましょう。
「気管支音」は気管支の音ですから、体の中心のほうで聞こえます。高い音で、吸気・呼気の全体で聞こえますが、呼気のほうで強く聞こえます。「スゥーハァー
「肺胞呼吸音」は肺胞の音なので、体の外側のほうで聞こえます。肺のはしっこのほうをイメージしてください。この音は吸気のときと、呼気のはじめにしか聞こえません。「スゥー……スゥー……」
これが基本です。その他の「ラ音(気道から聞こえる異常な音)」などについては、自分で勉強してください。わたしも勉強中です。
腸蠕動音:
よく、下痢をしているときにお腹が「ゴロゴロ」「グルグル」と低~く鳴りますが、あの音です。
10秒から30秒くらい聴いてみて、1回か2回「ゴロゴロ」「ゴロゴロ」と聞こえるのが正常です。音がすることがわかればOK。
このくらいの時間聞いていてもまったく音がしなければ、「減弱」「消失」と判断します。
10秒から30秒くらい、間隔をあけるのではなくずっと「ゴロゴロゴロゴロゴロ」と音が鳴りっぱなしなら「亢進」です。
その他、ふつうは低い音のはずなのに、高い音(金属音)が聞こえたら、それは異常です。
血圧:
よく考えたらこれ、「生理学実習」でもやったような気がします。
聞こえづらい人のばあい、まず「触診法」からやりましょう。
触診法だけでも収縮期血圧がわかります。
その血圧をめやすにして聴診法で血圧を測ると、聴いてもわかりやすいでしょう。
血管雑音:
これは、音がしたらオカシイです!
(音がしているのに聞こえなかった、ということもあるので難しいのですが)。
あて方や、あてる場所によってけっこう聞こえかたが違ってくるので、いろいろ工夫の余地があるかも。
 聴診器をあてる場所や、あて方は実習の中でじっさいに学んでください。

(2-1) 聴診の実際:心音図編

 「心音図」というものがあります。
 心音図にとどまらず、音というものは「波(波動)」なので、その波動を目に見える形で表すことができます。
 小学校の理科で、音の大小や高低によって変わる波の図を見たことがありませんか。原理はそれと同じで、その波の形を詳細に分析することで「どんな音が体の中からしているのか」を調べることができます。

 帝京大学の中木先生から、大石くんが大学で使用している聴診器と、その音を解析するソフト、そのソフトを入れたPDAの情報を頂きました。
 詳細はこちらです(英語)。
 Cardionics:E-Scope Electronic Stethoscope

 以上のように、音は目で見える形に表すことができるので、その情報を最大限活用していくことが、安全でかつ臨床の現場でも活用できるものと思います。
 血圧を測る場合、電子血圧計なども使えますね。
 心臓は、心音を聴くまでもなく、いまは持ち運びのできるエコーの機械があり、それで弁の動きや心房・心室の大きさを見ることができます。
 技術がどんどん進歩してきているので、目で見て確実にわかる機械の開発も、促していきたいところです。

 正直な話、臨床前実習の段階では「聴診器をあてる場所さえわかっていればいいや~」みたいな感じで、なんとかなっちゃう場合もあるんですよね。
 でも、病院に行けば意外と聴診をします。
 しかし、無理をすることはありません。自分にとって聴診器が使えないと思ったら、それ以外の方法を考えていってください。無理をして間違ったことを言うより、確実にできることのほうを選ぶべきです。そういう意味でも、自分にとって「使える」ツールを模索していくのが大事かと思います。

臨床前実習-2:前項|もくじ|次項:臨床前実習-4
文責:Kumiko

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