スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

専門教育課程-3

 専門教育課程では、講義を受けるだけではなく実習をすることによって学んでいくことになります。どういうものがあるか、というと、代表的なものが解剖実習
 他にも、組織学、生理学、生化学、感染症学、薬理学、病理学、社会医学それぞれに実習があります。
 実習について共通していることは、「事前にどのような内容の実習をするのかを知る」ということです。聴覚障害のある人は、情報を視覚で補わなければいけません。
 滋賀医大では実習の手引きや、読んでおくべきテキストが事前に用意・指定されているのでこの点に関しては問題ありません。
 もしそうでなければ、大学と事前に話し合いをして、どのような内容の実習をするのかや、実習にあたっての危険や注意点を前もって記載したものを準備していただけるようにしたほうが良いです。
 また、実習のなかには注射器を扱うもの、薬品を扱うものもあります。
 事前にテキストなり資料なりを読み、自分で注意しておくのが一番なのですが、それでも万が一のことが起こる可能性はあります。そのとき、どうやって知らせるか。これは、各個人の聴力の状況やコミュニケーション手段によって違いますが、距離が離れていなければ「肩をたたいてもらう」という方法が現実的だと思います。

 次に、解剖実習とその他の実習にわけて、その内容と対策をご紹介しましょう。
【解剖実習】
[1. どんなことをするの?:概要]
 最初に、解剖実習のナカミを少し説明しましょう。
 解剖実習では、2人から5人程度のグループで1体のご遺体を解剖させていただくことになります。
 ここで解剖する「ご遺体」は、「教育に役立てて欲しい」という気持ちで生前に「献体」の意思を大学などの教育機関に申し出られた方のご遺体です。
 ですから、ご遺体には限りがあり、そういった事情でグループの人数は変動することになると思います。
 だいたい胸部から解剖をはじめ、腹部、四肢、頭頸部の順に解剖していきます。臓器はもとより皮膚、血管や神経、筋肉、脳脊髄、骨(関節)の構造などを理解できるようにすべての部位を解剖することになります。

[2. 解剖に入る前に:準備]
 さて、解剖に入る前には準備をしなくてはいけません。
 これも微妙に大学によって違うみたいで、一概にはいえないのですが、共通しているものを挙げておきます。
 ・解剖用具:メスや鑷子(ピンセット)、剪刀(ハサミ)。
 ・マスク:これが聴覚障害のある人にとっての難関!
 ・キャップ:髪の毛をまとめておきます。
 ・手袋:ゴムやラテックス(アレルギーのある人注意)。
 ・ガウン:大学で解剖用の服の指定があります。
 また、ご遺体はホルマリンにより保存されていますので、解剖中はホルマリンのにおいと戦わなくてはなりません。たまにホルマリンアレルギーの人がいるので、注意してください。ホルマリンは揮発性(蒸発しやすく、普通の状態でどんどん蒸発する)で、また刺激物質なので目にしみます。そのためメガネやゴーグルをすることもあるでしょう。過敏な人は気をつけて。

[3. 聴覚障害のある人にとっての解剖:実際]
 さきほど準備の項でも述べましたが、解剖では「マスク」をします。
 さあ、大変なのはここ。
 聞こえに問題のある人にとっては、「マスクなどで口が見えない状態になると、話の内容が理解しにくい」のはよくあることだと思います。
 しかし、解剖のときはマスクをしてやることが普通です。
 外科手術とは違い、マスクが必須なわけではありませんから、はずしていただくこともできるでしょう。
 大学によっては、「口述試験」が課せられるときがあり、そのときにマスクをされていると、試験問題が聞き取りにくいことがあります。また、先生からの注意・伝達事項も口頭で伝えられることが少なくありません。
 そこで、用意しておきたいものがあります。
 「筆談セット:汚れてもいいペンとノート
 もちろん「ホワイトボードとマーカー」や、「かきポンくん」のようなものでもかまいません。筆談できるものを用意して解剖に臨んだほうが、確実に情報を得られるはずです。注意したいのは、それらの筆談用物品は間違いなく「解剖専用」になってしまうということ。汚れるし、においが取れません。そのことを考えると、安いペンとノートが現実的かと思います。
 最初にグループのメンバーと、解剖の先生方に協力をお願いしに行くことも大切です。
 手話のできる人であれば、手話通訳をたてることもできるかもしれません。ただし、解剖はおよそ半年近くかけてやることが多く、また毎日のようにすることもあります。その割に作業だけして喋らないシーンもたくさんあるので、「通訳」はあまり効率的ではないかもしれません。もしつけるならば、費用などの面で大学と相談が必要でしょう。
【その他の実習】
 解剖のほかに組織学や生理学などの実習があります。
 大きく4種類にわけられます。
[1. 顕微鏡をのぞいてスケッチする]
 組織学・病理学の実習がこれにあたります。
 感染症学(細菌や真菌)の一部、法医学の一部でも行います。
 組織のプレパラートを見てひたすらスケッチするだけなので、注意事項の伝達のほかは聴覚障害があるために困ることはあまりありません。

[2. 実習の手引きに沿って実験を行う]
 生理学・生化学・薬理学・感染症学・放射線学・法医学などがこれにあたります。実習の手引きが最初に用意され、何人かのグループ単位で実験をしていきます。
 内容はバリエーションに富んでいますが、マスクはあまりすることがないので、グループメンバーと協力すれば大丈夫です。

[3. 資料を調べたり議論する]
これは社会医学(公衆衛生など)の実習で見られる形式です。
 グループ単位でひとつのテーマについて調査し、そのことについて意見を出し合って、最終的にレポートをまとめるか、学年全体の発表会で発表する、という形になります。
 ここでは「議論」がくせもの。
 聴覚障害のある人は、「何人かが意見を次から次に出し合う」という状態があまり得意ではありません
 読唇をしている人は特に、意見を言っている人のほうを向かなければならず、議論のスピードが早いと議論についていけなくなります。
 そのため、ここでもグループメンバーの協力が重要になってくるでしょう。
 ・書記をひとり決めてもらう:紙やホワイトボードに要点を書く
  (聴覚障害のある人はそれを見られる位置に座る)。
 ・FMシステムの利用:発言者はマイクを持って喋る
 他のグループより時間がかかるかもしれません。でも、実習に参加するために必要なことだと、みんなに説明してください。

[4. 臨床前実習]
 これは実際に臨床の現場で実習を始める前に、基礎的な手技を学ぶための実習です。大学によって差はありますが、ここで聴診器が登場します。
 これについてはまた項を改めて説明します。
 以上でした。
 次は「少人数能動学習(チュートリアル)」について説明します。

専門教育課程-2:前項|もくじ|次項:専門教育課程-4
文責:Kumiko

コメントの投稿

非公開コメント

こんにちは
ADHIMS
Author:ADHIMS
現在、メンバーは5人です!

ご意見・ご感想はこちら
掲示板にいく
メールを送る
それぞれの記事の
「コメント」からもどうぞ!
カテゴリー
最近の記事
過去の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
ブログ内検索
リンク
RSSフィード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。