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大学側の試み

聴覚障害医学生支援連絡会」のページができました。
 医学生に対象を絞って、支援をしていこうとしてくださっています。
 帝京大学・薬理学講座の中木敏夫先生が窓口になってくださり、筑波大学医学学群、滋賀医科大学の3大学が連携をとっています。
 いまは連絡先のみですが、このような試みもあるということでお知らせしました。

 これから医学部を受験しようとしている人、あるいは他大学の医学部に在籍しているけれども(聴覚障害に関して)大学の協力が得られていないという人、連絡をとってみてください。

もくじ
文責:Kumiko
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3回生編

<3回生>
★講義★
3回生は基礎医学、社会医学、臨床コースから成ります。
具体的には薬理学、衛生学、法医学、感染症コース、外科総論コース、呼吸器コース、循環コース、神経内科コース、診断学コース、精神コース、産婦人科コースがあります。

3回生から授業の受け方が大きく変わりました。
といっても私自身は何も変わっていません。
どういう事かといいますと、
1・2回生の時の授業では、私は友達にノートテイクをしてもらっていた(プリントをみせてもらっていた)ということはもうすでに述べましたが、実はその友達はずっと同じ一人の人でした。

この事は何でもないように聞こえるかもしれませんが、これはかなり大変なことです。
皆さんも想像してみてください。
ただいま講義中です。
先生の口から出る単語は、あなたにとって今まで耳にしたことがなくまた内容も複雑です。そしてスピードもとっても速いです。
内容をゆっくり理解している時間もなく、ただひたすら先生が話している内容を聞き漏らすまいと、集中してプリントに書き込んでいます。
それだけでもどんどん疲れていきます。
集中力が途絶えることもあるでしょう。
しかしあなたが書き込んだプリントをもとに勉強をする子があなたの隣に座っていて、しきりにあなたのプリントを覗き込んでいます。あなたのペンが走ればその子のペンも走り、あなたのペンが止まればその子のペンも止まります。
これを毎日、月~金まで、そして毎時間、朝~夕方まであります。

いかがでしょうか。
そのしんどさは想像を絶すると思います。

私のその友達は2年間ずっと私を助け続けてくれました。
しかし皆さんの想像通り、精神的・肉体的疲労は相当なものだったと思います。

そこで3回生からはより幅広く色々な人に協力してくれるようにお願いしました。(サポーターの会発足。)
具体的には、
(1)時間割帳を作る。
まず3週間分づつくらいで時間割を作ります。そして各々のサポータ-の都合が良い時にその時間割帳に名前を書いてもらいます。こうすると誰が、いつ、何時間目にサポートしてくれるのか一目で分かります。
(2)感想を書いてもらう。
授業終了後、毎回サポーターに感想を書いてもらっています。どんどん積み重ねて行くと、交換日記みたいな感じになって面白いです。

多くの友達の協力のおかげで、今ではサポーターは20名を超えています。誰一人無理なく学習できていると思うので、本当に良かったと思います。

★実習★
*チュートリアル*
3、4回生の2年間にチュートリアルが導入されています。
1グループ7~8人で、年に3回ほどグループ替えがあります。
少しでも話が理解できるよう、どのように行っているかというと、
(1)ホワイトボートが見える位置に座る。
(2)意見を言う前に挙手するように班員にお願いする。
(3)事情をよく知っている友達が少なくとも1~2人同じ班になれるよう学務(事務)に予めお願いしておく。(私は、いつも協力してくれている友達の名前をリストアップした紙を学務に提出しました。)
(4)その友達に隣に座ってもらい、聞き取れなかった所をノートテイクしてもらうようにお願いする。
こんな感じで、だいたい流れはつかめると思います。

しかし1番重要なことは、班員の協力です。
解剖のときは、最初から最後まで同じ班員(4~5人)なので、班員にだけ説明すれば、だいたいうまくいきました。
しかしチュートリアルは、どんどん班が変わり、最終的にはクラスのほぼ全員と1回は同じ班になると考えてもいいと思います。
ですので、チュートリが始まる前にクラスみんなの前で、自分の聞こえについて説明し、理解してもらうことは一つの手だと思います。
(私は2回生の時にクラスみんなの前で説明しました。)


2回生編

<2回生>
★講義★
一般的に基礎医学と言われています。
解剖学1,2、生理学1,2、医化学、病理学1,2、微生物、医動物を習得します。
基礎医学は、教養科目と全く異なっております。
(これに関して詳しくは、教育支援を参照してください。)
先生によって講義の仕方は変わりますが、大まかに4つに分かれると思います。
(1)プリントとスライドの両方使用。
(2)プリントだけ。
(3)スライドだけ。
(4)プリントとスライド両方なし。(つまり口頭による講義)
関西医科大学では、大半の先生が(1)か(2)です。(4)の先生はほとんどいません。
(3)に関しましては、講義終了後に先生にスライドをプリントアウトしていただけるようにお願いしました。
プリントは非常にわかりやすいものから、図だけで説明が何もないといったわかりにくいものまで様々です。(他にも文書風、パワーポイント、手書きなど)私は友達に頼んでプリントを見せてもらって写させていただいてました。

★実習★
*解剖学1*
・顕微鏡実習(プレパと言われてる)・・・・6月頃に行われる。毎回初めに実習の手順の説明を受けてから、顕微鏡を用いて標本を観察しスケッチする。
テストもある。テストは渡されたプレパラートから求められている組織を時間内に顕微鏡で見えるようにする。後に先生が確認して点数化する。
*解剖学2*
・骨学実習・・・・1グループ4~5人の班で実際に骨を触って名称を覚えていく実習。テストは筆記試験です。
・解剖学実習・・・・8月末~11月末に行われます。骨学実習と同じ班員です。
私は班員に以下のことを協力していただきました。
(1)私に何か言う時は、マスクを外すか紙に書いてもらう。
(2)先生が話している内容を紙に書いてもらう。 
ただしマスクはホルマリンアレルギーの子がいたので強要はしませんでした。
解剖実習は実習本もあり、また毎回初めに実習の手順の説明と到達目標が書いてあるプリントをいただけるので分かりやすかったです。
*生理学1,2、医化学、微生物*
高校同様、実習ワークがあるため特に困ったことはなかったです。
ただし、生理学2の実習で聴診器を使って血圧を測るといった実験がありました。私は聞こえなかったので免除してもらいました。
また、微生物では実習内容は大丈夫でしたが、テストがありました。しかも口頭試問(詳しくは教育支援参照)でした。私は予め教授に質問内容を書いてくださるようにお願いしました。また同じ班員には、聞き返したり、尋ねるかもしれないと伝えました。
*看護実習*
1月頃にありました。
目的は看護師に1日中ついてまわって、看護師の役割や仕事を理解することです。
私は泌尿器の看護師にお世話になりました。
主に入院患者さんの身の回りの援助や介助、病室の環境整備などをしました。
私は小さなメモ帳とペンを持ち歩いていて、聞き取れなかったところを書いていただくようにお願いしました。

★その他★
2回生では1クラスとなり、大講堂で約100人一斉に講義を受けます。
1回生のときと同様、クラスアドバイザーもいます。
また専門部教務部長という学生の教育に関係している先生もいます。
私は教務部長に以下のことをお願いしました。
・感音性難聴を持つ学生の存在を全講座の先生方に知ってもらい、以下のことを協力してもらう。
・講義に関してプリントをできるだけ配布していただく。
・スライドを使用するときは、教室を真っ暗にしない。
・感音性難聴独特の聞こえ方。(聴覚障害とは参照)など。
こういった働きかけと先生方のご理解によって、環境は良い方向に変わりました。
また、実習においては事情をよく知る友達と必ず同じ班になれるといった配慮もいただけました。

*2005年度の話です。
もしかしたら、変わっている可能性もありますのでご了承くださいませ。
*一部不適切な記事を削除させていただきました。
 気分を害された方がいらっしゃいましたら申し訳ございませんでした。
文責:AYAKA

ゆるい話

 むかし、講演会にお招きいただいたことがあります。
 3年前ちかくだったかな、ピア大阪でひらかれたものでした。
 そのとき、どういうことを話したかというと、
 「障害をもっているからできないのだとあきらめていないか、挑戦することでしか道はひらけない」
 というようなことでした。
 いまから思えば、それは自分が考えていることの主張にすぎなかったんだなあ。相手を想定したことばじゃなかったです。いまも、あきらめる必要はないんだって思うけれど。
 このときのことは、ライターの小椋知子さんにとりあげていただきました:
 「できないって、誰が決めるの?

 ほんとうのとこ、あんまりガチガチに考える必要はないんじゃないか、っていまは思うんですよね。
 わたしが聞こえなくなったのは2歳なんだけれども、生来の負けず嫌いのため、幸か不幸か自分のことばっかり考えて、いままでずーっときばってきちゃった。きばっている、ってことにも気がつかなかったんだから、相当なもんです。
 自分がやらなきゃ、できなきゃ、自分はこうだから、こうでなくちゃ。自分で自分をしばって、身動きがとれなくなっていました。自分勝手でマイペースに、すごく自由に動いていたつもりだったんだけれども、まわりが見えていないことで逆に自分の自由度を下げていたと思います。っていうか、いまもまだまだなんです。20年以上の性格って、そうかんたんにはなおらないや。

 前に、「なぜ医者になりたいか」についてお話しました。
 そのとき、思考のポイントというか、これを考えてみることで、もしかしたら悩んでいることにちょっとだけ道が開けるかもしれないよ、ということを書きました (「なぜ医者になりたいか part.2」)。
 でもさ、じっさい「こうだから、こうなりたい」ってハッキリ言える人は少ないんじゃないかな。
 わたしなんか、中学3年生で「医者」って決めちゃったけど、イメージのなかで思い込んでいただけだったし。
 しかも、「こうだから、こう」っていうことがずーっと続くわけじゃあなくって。
 わたしも「こうだ!」という勢いで突っ走って、コケて、起き上がってまたコケてを繰り返して、気づいたらなんとかここまで来れていた。そうすると、はじめに中学3年生で考えていたのとは違うところに、いつのまにかいたりするんです。
 
 迷ったら、とりあえずはじめてみること、それがいいかも。
 ただし、「自分のやりたいこと」とか「好きなこと」を「やりたいまま」「好きなまま」の気持ちを持ちつづけるっていうのはむずかしい。人間って変わっていく。
 そのなかで「やりたいこと」「好きなこと」をそのままに保ちつづけるには、いつもそのことを問い続けていくことが必要なのかもしれません。

 なんというか。
 「聴覚障害を持つ医学生の会」ってカンバンかかげてるけれど、「聴覚障害」とか「医学生」にこだわらないでほしいんですよね。
 聞こえても聞こえなくてもいいんじゃないの。
 「できないこと」ってのはあると思う。それはがんばればどうにかなるってもんではなくて、ヘソが茶をわかすくらい、できないことなんだよね。生まれたての赤ちゃんに「立って歩け」って言うようなもん(あ、お釈迦様は歩いたか)。
 でもさ、それって、数は多くない。
 むずかしいけれど、ちょっと工夫したらできるようになる、っていうことはたくさんあると思う。

 それよりも、ここを見てくれているひとたちに、大切にしていること、なりたいもの、やりたいこと、いま読んでみたい本、いまお話したい人、得意なこと、悩んでいること、苦手なこと、いろいろ聞いてみたいなあ。

文責:Kumiko

臨床病院実習-4

 1年間、大学病院や関連病院で実習をしてきました。
 また、自分から申し込んで他の病院に実習に行ったこともあります。
 「実習」というワクの中であれば、思っていたよりもずっとやりやすいものでした。もちろん、問題点はたくさんあって、そのことに対して根本的な解決ができたわけではありません。なんとかその場その場をしのいでしまった、という感じです。
 ですから、実習自体に反省点は多くあり、自分としてもまだ言葉が整理しきれていません。

 確実に、「コミュニケーション」ということ、およびコミュニケーションを円滑に行うための「情報保障」ということが、実習においても将来の仕事においても必要になってくるでしょう。

 最後になりましたが、「こういうものもあるらしい」ということで、働くときの助けにならないかと考えています。

【シルウォッチ】
 http://www.shinyu.co.jp/products/fukushi/
 電話が難しい場合に、病院での呼び出しで使えないか?

【透明マスク】
 唇の動きが読めない従来のマスクにかわり、利用できないか?
 外来などであればはずしてもらえるが、はずせない手術場などで利用する、という案が実習前にありました。けれどもコストパフォーマンスの点で廃案になったようです。
 関連サイト(すべて英語):
 NAD Takes Action to Support the Manufacture of Clear Surgical Masks
 AMPHL:The Operating Room
 "clear surgical (face) mask" または "'See-through' mask" などがキーワードです。

【音声認識ソフト】
 将来に期待。

臨床病院実習-3:前項|もくじ|次項:臨床病院実習-5
文責:Kumiko

臨床病院実習-3

 病院実習で気をつけたいこと、パート3です。
 なによりもいちばん大切なのは、それはもう「コミュニケーション」ということに尽きるわけです。ところが、病院の中のいろんな場所、いろんなシーンでこのコミュニケーションをはばむものがあるんです。

【手術場】
 手術場ほど、聴覚障害のある人にとってヤッカイな場所はありません。
 手術をうける患者さんにバイキンでも入ったらエライことになりますから、どうしてもマスクが必要になってきます。
 マスク!
 「くちびるの動きが見えない」
 「しかも声がこもって聞き取りにくい」
 この2つの問題を作ってくれちゃうのが「マスク」です。
 しかも、手術場はいろんなキカイの音がして、静かとはいえない環境です。心電図のアラームや、人工呼吸の音や、さまざまな雑音であふれています。
 さあ、どうしたらいいでしょう?
 これもコミュニケーションの問題ですね。

 まず、その前に手術場では、清潔と不潔の概念があります。
 清潔、というのは手洗いをきちんとして、滅菌したガウンと手袋を着用した状態。手術に使う器具やシーツも滅菌されたものです。「手術を実際にする場」は「清潔」です。
 実際に手術をしている人や、している場所以外の、手術室のはしのほうは「不潔」です。滅菌されていない=「不潔」になります。
 ここで、「不潔」のときはまだ対策をとりやすいです。

 ・人工内耳のFMシステムを持ち込む:雑音対策。
 ・わからないときのために筆談セットを用意。

 わたしは上の2つで乗り切りました。
 最初はFMシステムを使うという発想がなくて、ずいぶんと苦労しましたが、わたしの場合はFMシステムを使うことで多少聞こえやすかったです。

 さて、問題は「清潔」のときです。
 学生も、外科などで実習しているときに、手洗いをしてガウンを着て手袋をはめて、手術をしているところに立つことがあります。
 このとき、清潔のところ以外はなんにも触れません。
 次のような手段で乗り切りましたが、正直な話「手術は難しいだろう」と言われてしまっています。まだ問題が残っています。

 ・基本、耳元でしゃべってもらった:わからないことも多い。
 ・不潔の領域にいる先生に、FMシステムで話してもらった。
 ・どうしてもわからないとき、患者さんの皮膚に書くペン(清潔)で、シーツに書いてもらった。

 コミュニケーション手段によっては、情報保障として手話や要約筆記、ノートテイクを実習の場においても参加させることになるのでしょうか。その場合、患者さんの個人情報の件を、通訳・ボランティアの人にもきちんとしておかなければいけません。
【救急部】
 救急部での実習では、「当直」をする日があります。
 (ないところ、あるのかな?滋賀医大ではありました。神戸大の友人も「やった」と言っていました)。
 「当直」とは、時間外に救急車で運ばれてきた患者さんを診るために、病院に泊り込むことです。
 「どうやって当直実習するか」は、たぶん大学によって違います。
 滋賀医大のケースを。
 まず、滋賀医大の附属病院には「学生用当直室」があります。
 そこに学生だけで当直することになります。
 学生は学生用PHSを持って当直室に入り、担当の先生から電話がくるのを待ちます。電話を受けて、指定された場所に向かう、というやり方です。
 もし、ペアを組んで当直したり、先生と一緒に当直するのであれば、あまり心配は要りません。起こしてもらえばよいので。
 一人で当直しなければいけない場合、どうしていたか。
 最初に担当教官と場所をあらかじめ決めておいて、「PHSが鳴ったらその場所に直行する」ということにしておきました。

 これも、実際に働くときに通用するやり方かどうか、わかりません。
 実習のときはこんな風にして乗り切ることができるので、「実習」であればあまり心配しなくてもいいと思います。ここも、まだまだ問題があります。
【カンファレンス・会議】
 学生もカンファレンス(会議)に参加することがあります。
 滋賀医大の場合、自分が受け持った患者さんのことを発表することも、かなり多くの科で行われました。
 カンファレンスの問題点は、ほぼ「少人数能動学習(チュートリアル教育)」のときの問題と同じです。
 これはなかなかいい案が浮かばず、けっきょく「まあいいか、わからなくても」と流してしまうときも少なからずあったと振り返ってみて思います。
 将来も予想される問題点です。
 かなり頻繁にカンファレンスは行われますし、また医者としてのキャリアを重ねると「学会」という問題も出てくるでしょう。
 そのときの情報保障をどうするか、は現在進行中の問題であるように思います。
 いちおう、わたしの場合はFMシステムが使えるので、たいていは「発言者にFMシステムを持ってもらう」「発言者のくちびるが読める位置にいる」ことで対応しました。FMシステムは個人差があり、わたしも補聴器のときはあまり有用だと思いませんでしたが、人工内耳にしてから有用性が高くなりました。
 手話通訳、要約筆記、ノートテイクなどの保障が必要かもしれません。講義のときと同じく、専門用語の問題もありますから、「コミュニケーション」についで「情報保障」が大きな問題だと思われます。
 なかなか問題は山づみ、なのですが、実習のときのお話でした。
 次は、臨床実習全体のことをまとめようと思います。

臨床病院実習-2:前項|もくじ|次項:臨床病院実習-4
文責:Kumiko

臨床病院実習-2

 前回からの続きです。
 今回は、特に「コミュニケーション」についてまとめました。
 まずは自分のコミュニケーション手段をはっきりさせておきましょう。手話なのか、読唇と口話なのか、筆談も使うのか、それともそれ以外の方法なのか。
 コミュニケーションに「きまり」はありませんから、これからお話しすることは、参考にとどめてください。
【患者さんとのコミュニケーション:外来・病棟】
 患者さんとのコミュニケーションは、おもに2つの場面にわかれます。
 A) 外来:医療面接(問診)という形で行われます。
 B) 病棟:入院患者さんを受け持ち、お話を聞いたり診察します。
 どちらも「患者さんとお話をする」ということにかわりはありません。
 「臨床前実習」で解説した、「医療面接」の項目を参照してください。
 → 臨床前実習-2:医療面接
【グループのメンバーとのコミュニケーション】
 読唇と口話を使う場合の話です。
 最初に断っておきたいのですが、わたしが臨床実習でいちばんうまくいかなかったと思っているのがここです。なおかつ、臨床実習を円滑に行っていくために、いちばん重要であるとも思っているのがここです。
 「うまくいかなかったこと」については、わたしの性格も関係してくるので、ほかの人にあてはまるわけではありません。
 しかし、そのときの反省を生かして、聴覚障害があるために、もしかしたら問題になるかもしれないことを書いていきます。
 まず、わたしの場合は自分を中心にしてものごとを考えてしまう性格が強く、グループメンバーのなかで「空気が読めない」人になってしまっていました。
 次に、聴覚障害のある人の多くが感じる「何人か以上での会話が苦手」ということを、わたしも感じていました。
 そのことをふまえて、聴覚障害があるために「グループ内の会話の全体像が見えず、場の空気が読めない」ところは、もしかしたら聴覚障害があることも関係してくるのかもしれません。あるいは、性格形成に聞こえづらいことが寄与しているということも考えられます。
 さて、会話の全体像が把握できないために起こる問題点です。

 ・人の話をさえぎって自分の話をしてしまう。
 ・話の流れがわからずに、とんちんかんなことを言う。
 ・質問や話が自分にだけ向けられると勘ちがいする。
 ・わからないのにわかったふりをしてしまう。
  (そしてあとで困るはめになる)。

 もし、心当たりがあるなら、注意してください。
 たいていは1年間くらい同じグループで行動するので、グループ全体の雰囲気が悪いと、とてもやりにくくなってしまいます。
 (さいわい、と言ってはなんですが、わたしの場合はグループのうちのひとりとだけでした。他のメンバーはそうでもなかったので、ありがたいことに協力してもらえていたと思います。聞こえに関わらず、全員からはみ出てしまうような人もおり、なかなか人間関係は難しいものですね)。
 さて、そういう問題が「もしかしたら」あるかもしれません。わたしの場合、それまで普通に喋ってくれる人たちばかりで、そうではない人とはじめて接したということもあり、「問題」として出てきてしまったようです。
 そのときどうすればいいか。自分が気をつけなければいけないところと、周囲の協力が必要なところがあります。
 前回、「協力してくれる人と同じグループになる」というのを言いましたが、もしそうであったとしても、上のようなことに心あたりがあれば気をつけてください。
 こういった行動は、仕事をするうえでも周囲の人にそっぽを向かれてしまう原因になってしまいます。

自分が気をつけるところ:
 ・人の話をさえぎらない。
 ・わからない話に無理に参加しない。
 ・わからないことや、あやふやなことは、きちんと確認をとる。
 ・全体を見回して、いまどういう状況なのかを考えて発言する。

協力が必要なところ:
 ・まず、自分のコミュニケーションに時間がかかることを伝える。
 ・そのうえで、自分の状態を説明する。
  (聞き返すことが多い、書いてもらいたいときがある、など)。
 ・討論や、グループでの雑談のとき、会話の流れがわかりにくいので重要なことだけでも書いてもらうようにする。

 思いつくのは、以上です。
 むずかしいですね、人間関係って……。
【スタッフとのコミュニケーション】
 病院にはさまざまなスタッフが働いています。
 自分のコミュニケーション手段はなんですか?
 まず、それを確認してください。
 以下は、手話通訳を使わずに読唇と口話でコミュニケーションしている人の場合です。

医者:
 もっとも多く接することになります。
 1対1で接することばかりではありません。
 ときにはミニレクチャーという形で教えていただくことがあり、このときは少人数で講義を受けているような形になります。
 また、先生から問題を出され、それについてグループのメンバーが答えていくという「口頭試問」のような形式(正式の試験ではなく、先生からの質問という形)があります。
 このとき注意したいことは、
 ・先生の質問がわからない
 ・ほかのメンバーがなんと答えたかわからない
 の2点です。
 前者に対しては直接質問の内容を尋ねなおします。
 後者に対しては、はっきりと「こうすればいい」という答えが出せていません。たとえば、同じ問題(「心窩部痛を訴えてきた患者さん、何が考えられるか?」など)に、ひとりひとりが次々と答えていくような場合だと、他のメンバーの答えがわからずに、かぶって答えてしまうような場合もあります。
 まだ不確かですが、現時点でできた対策は「先生、メンバー全員の顔が見える位置にいること」と、「メンバーに直接答えを聞きなおすこと」でした。
 ここでもグループメンバーの協力が、必要になってきます。
 わたしもずいぶんと助けてもらいました。

他の医療職:
 あまりコミュニケーションする機会がありませんでした。
 おそらく、実際に仕事をするうえでは重要となってくる項目ですが、現時点ではまだはっきりとわかりません。
 結局のところ、「情報保障」というところに問題が還元されるかもしれません。ここはまだまだ議論の余地があると思いますし、自分がどういう風にコミュニケーションしたいか、ということも大事です。
 今後、一緒に考えていきましょう。
 次は、個別の項目についてです。

臨床病院実習-1:前項|もくじ|次項:臨床病院実習-3
文責:Kumiko

1回生編

<1回生>
★講義★
一般的に教養科目と言われています。
物理、生物、化学、分子生物、数学、ドイツ語、英語、心理学など。
大半の授業で先生方が板書してくださいます。
また教科書、ワークもあるので高校と同じような感じです。
特にこれといった支援はなくても大丈夫でした。
ただ英語に関しては、洋画(ET、Never ending storyなど)を英語版で見て、プリントの空白に当てはまるセリフを聞き取って書くという授業がありました。
私は、当時先生方に何も言っていなかったので友達に写させてもらっていました。
もし言っていたら、何らかの配慮をいただけると思います。
またドイツ語はワーク、辞書を使っていました。
辞書には単語の発音がカタカナで書いてあるので、発音にも困りませんでした。

★実習★
*化学、生物、分子生物、物理*
高校同様、実習ワークがあるため特に困ったことはありませんでした。
*病院見学実習*
夏休みに3日間(専門科によって異なりましたが・・・)病院見学をしました。
目的は、医学部入学を果たし医師に近づきつつありますが、実際に病院見学をすることでまだまだ無力であることを痛感し、日々精進を心がけるためです。(要は油断しないで勉強しなさいって事ですね 笑)
私は産婦人科にお世話になりました。
主に手術や外来を見学しました。
私は、この時先生に何も言わなかったので、何も分からないまま終わってしまいました。
まぁ、言って紙に書いてもらうなりしていただいたとしても知識が全くないのでわかるとは思えませんが・・・・。だけど、後々レポートとして提出する時にあまりにも書けることがなくて困りました。

★その他★
1学年100人くらいで、4クラスに分かれて25人で学習しました。
それぞれのクラスにクラスアドバイザー(高校で言うところの担任)がいて、学生の相談も受け付けているので困ったことがあれば何でも相談していました。

*2004年度の話です。
もしかしたら、変わっている可能性もありますのでご了承くださいませ。

文責:AYAKA

臨床病院実習-1

 数々の試験をくぐり抜け、CBTとOSCEに合格すると、病院での実習が待っています。
 5年生からはじまるところが多いですが、筑波大学や自治医科大学は4年生からのようです(各自で、各大学のカリキュラムを調べてください)。
 「ポリクリ」とか「BSL(ベッドサイドラーニング)」という呼び方をしていることが多く、自分の大学の附属病院のほか、関連病院といって外部の病院に実習に行くこともあります。病院実習の仕方は大学によってさまざまで、期間を決めて4~8人程度のグループでいろいろな科を次々に回っていきます(ローテーションが組まれています)。

 さて、それまで講義室や実習で勉強してきたことを、いよいよ病院のなかで実習していくことになります。どういうことをやるとか、やらせてもらえる範囲は大学や科によって異なるので、一概には言えません。
 聴覚障害があることで、気をつけておきたいポイントに絞って解説していきます。
【2005年9月:医師免許の付与に当たって遵守すべき事項について】
1. 患者に係る認知や患者との意思疎通を支援する補助手段を確保し、当該手段を活用した上で診療に従事すること。
2. 従事する医業の範囲は、障害を補う手段を用いて適正に行うことのできる範囲に限ること。
3. 他の医師や看護師等の医療従事者と連携して診療に従事すること。

 2005年5月12日付けで全盲の方が医師免許を申請し、障害者等欠格事由評価委員会の議論をふまえて医師法第六条〔免許証の交付および届出〕の規定により免許を与えられることになりました。しかし、その方が今後医師として働くうえで遵守しなければいけない事項もあわせて示され、それが上の3項目です。
 病院で実習するということは、「医療行為」を行う可能性があるということです。全盲の方に示された指針ですが、上のことを念頭において実習を行ってください。
 つまり、「自分のできることとできないことを知る」「無理をしない」ということです。
【はじめる前に】
 病院実習をはじめるにあたって注意する点は2つあります。

 (1) 同じグループの人と協力する
 (2) 病院に前もって聴覚障害のことを知らせる

(1) 同じグループの人と協力する
 臨床実習ではかなり長い期間、ずっと同じグループで行動することになります。滋賀医大の場合は1年間同じ顔ぶれで行動することになるので、グループのなかの関係作りが大事になってきます。
 わたしの場合はここで苦労しました(聴覚障害がある以前の、もっと基本的なこともあったのでしょう)。
 できれば「(耳のことも含め)あなたのことをよく知っており、協力してくれる人」と同じグループにしてもらえるよう、大学にお願いしておいたほうがいいかもしれません。

(2) 病院に前もって聴覚障害のことを知らせる
 滋賀医大のケースです。
 教授会議が開かれ、
 「病院実習で回る各科に告知をする
 ということが決められました。
 「病院」という場所は、患者さんの安全を第一に考えなければなりません。また、そこでは大勢の人たちが働いているわけですから、その業務に差しさわるようなことがあってはなりません。
 聴覚障害があることによって、患者さんの安全がおびやかされ、業務に差しさわりが出ないよう、あらかじめ各科の教授や看護師長に伝達され、そこから全体に告知がいきました。

(その他)
 臨床実習をはじめるにあたって、わたしが大学から出された条件は、「白衣の色を変える」ということでした。具体的にはピンクの白衣(?)で、「ピンクの白衣を着ている人が難聴」というふうに伝達されたようです。
 これは先ほど述べた「患者さんの安全を守る」「業務に差しさわりを出さない」という目的のため、相手に気づいてもらえるようにという意図でピンクになったのです。
 問題点としては、
 ・告知が不十分で、個人の趣味で着ていると思われた。
 ・医学生ではなく、医療事務などの人と間違われた。
 この2点が挙げられます。
 1年間が終わってみれば、とくに問題が発生したわけではないのですが、「ピンクの白衣を着ていたために問題が起きなかったのだ」とする考えかたもあり、先生がたのなかでも賛否両論に分かれたようです。
 これは議論の余地があると思われる点でした。
 個人的にはピンクという色が嫌いでなかったので、「まあいいか、大学の言い分も納得できる」ということで多少複雑な気もしつつそのまま着ていましたが、周囲も複雑な思いをしていたようです。
 聴覚障害者に運転免許を与えるとき、それとわかる目印(若葉マークのような)をつける、という議論に近いものもあるかもしれません。差別なのか区別なのか、なぜそれが必要なのか、そこを慎重に考えるべきだと思います。
 ここまで、長い前置きでした。
 次から、実際に実習していくときのポイントを解説していきます。

CBT・OSCE:前項|もくじ|次項:臨床病院実習-2
文責:Kumiko
こんにちは
ADHIMS
Author:ADHIMS
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